リハビリテーション部門における令和2年度診療報酬改定のポイント②

アイキャッチ画像2 理学療法

こんにちは、サメさんPTです。

 

前回に引き続き

『令和2年度診療報酬改定』についてお話していきたいと思います。

 

第2回目は『言語聴覚士のリハビリテーション料算定追加』について説明していきます。

 

言語聴覚士については、呼吸器リハ算定追加以外にもポジティブな改定が多く見受けられます。

 

主な改定ポイントは以下になります。

 

呼吸器リハ算定料のST追加
難病リハ算定料のST追加
摂食機能療法の加算見直し
脳血管リハ算定料の見直し

 

samesan
samesan

やっぱり呼吸器リハ算定が目玉だよな

 

 

言語聴覚士の呼吸器リハ算定追加

 

呼吸器リハの点数

 

いきなり本題に入ります(笑)

 

最大の改定ポイントですね!

 

samesan
samesan

STの皆さんの喜ぶ声が聞こえてくるよ

 

実際にあがっている声です。

 

2020 診療報酬改定~STに関連する内容の要点(PDF付き)~|奥住啓祐
皆さんおはようございます。 言語聴覚士オンラインの奥住啓祐です。 こちらのST magazineは国内外の言語聴覚士が共同で執筆しております。STが関わる幅広い領域についての記事やST関連学会などについて記事を配信していきます。 先日、Twitterはタイムラインが2020 診療報酬改定の話題で埋まりました。 ...

引用元:ST magazine様(note)

 

このような活動が、リハビリテーション全体の盛り上がりにつながっていくんですね。

 

samesan
samesan

私も刺激になります

 

 

 

言語聴覚士の呼吸器リハビリテーション料の見直し

 

以下、厚生労働省の告示をそのまま引用します

 

呼吸器リハビリテーション料の実施職種に言語聴覚士を追加する。

 

呼吸リハ算定見直し

 

 

呼吸器リハビリテーションにおける各職種の役割等を踏まえ、呼吸器リハビリテーション料の算定要件及び施設基準を見直す。

 

呼吸器改定ポイント

 

施設基準も多少変更されています。

解釈しては、

 

呼吸器(Ⅰ)

PT・OTあわせて2名以上 ⇒ PT・OT・STあわせて2名以上

 

呼吸器(Ⅱ)

PTまたはOTが1名以上 ⇒ PT・OTまたはSTが1名以上

 

と変更になったので、施設基準としては緩和されたと解釈できますね。

そして、STのみでも呼吸器(Ⅱ)が算定出来るという事ですね。

 

 

嚥下造影(VF)・内視鏡下嚥下機能検査(VE)の検査は必要?

 

STが摂食嚥下訓練をするか、呼吸器リハビリテーションをするか

 

によります。

 

今回の改定では、あくまで呼吸器リハビリテーション料の算定に言語聴覚士を追加するという事ですので、その場合は不要となります。

 

呼吸器リハのST内容

引用元:PTOTSTネット

 

 

上記の内容を見ると、言語聴覚士の具体的な介入として

 

・呼吸筋ストレッチ
・呼吸訓練
・排痰法、気道クリアランス
・咳嗽訓練

 

と記載されています。

近い将来呼吸療法認定士の受験資格言語聴覚士の追加も認められる日がくるかもしれませんね。

 

 

 

しかし、嚥下機能が低下し経口摂取が困難となった患者さんの場合は

 

呼吸器リハビリテーション料 ⇒ 『摂食機能療法 での算定となりますので

 

VF・VE検査は必須となります。

 

H004 摂食機能療法(1日につき) | 令和2年 診療報酬改定情報|PT-OT-ST.NET
【お知らせ】最新情報は「令和4年診療報酬改定特設サイト」をご参照ください。令和4年 特設サイトはこちら 【疑義解釈】 令和2年6月30日、厚生労働省は別の医療機関で内視鏡下嚥下機能検査等を実施した場合も当該医療機関で接触嚥下支援加算を算定可能と通知しました。ただし、検査結果等を診療禄に記載するなどの留...

引用元:PTOTSTネット

 

 

 

どちらがお得?なんちゃってリハに注意!

 

ここからは少しお金の話になりますね。

 

院長
院長

きちんと算定してくれよ

言語聴覚士が算定できるリハビリテーション料は以下になります。

 

脳血管(Ⅰ) (245点)
摂食機能療法 (185点)※1
呼吸器(Ⅰ) (175点)
がんリハ (205点)

※1 摂食機能療法は30分以上 30分未満の場合130点

 

1点=10円です

 

疾患名によっては早期加算(30点)初期加算(45点)が付きますので解釈が変わってきますが、ここでは割愛させて頂きます。

 

そして上記に摂食嚥下支援加算 200点 が追加されます。

 

何が言いたいかというと…

 

嚥下障害のある患者さんが脳梗塞などの脳血管(Ⅰ)を算定していた場合60点 もの差が生じます。

 

もし発語訓練高次脳機能訓練を実施し2単位行った場合は 245 × 2 = 490点 となります。

仮に1か月で20回リハビリを介入したとすると…

脳血管(Ⅰ) 9800 点
摂食機能療法 3700 点

6100点(61,000円)の差が生じてしまいます。

 

院長
院長

だいぶ差が出るね。どんどん脳血管で取れはいいじゃないか

ですがここで気を付けなくてはなりません。

 

確かに点数だけ考えれば、上記のような算定をしたほうが経営的にはベターです。

 

しかし、以前『なんちゃってリハビリ』という言葉を厚生労働省に指摘された経緯が過去にあります。

同じ理学療法士として恥ずかしい行為ですが、事実ですのでしかたがありません。

 

気になるひとはなんちゃってリハビリとは?こちらを参照下さい。

出典元:日本理学療法士協会ニュース

 

 

ただ何となくリハビリをしてお金を頂くことは、プロのセラピストとして絶対にあってはなりません。

 

 

今回の算定に関しても、言語聴覚士が

嚥下訓練を行っているのか言語機能もしくは聴覚機能に係る訓練を行っているのか

 

を今一度考える必要があります。

 

samesan
samesan

ちゃんと評価をして根拠に基づいた医療を提供しないとね

こちらに興味深い回答がありました。

摂食嚥下訓練の算定方法 | PT-OT-ST.NET
PT-OT-ST.NET掲示板では、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)等のリハビリに関わる情報交換を目的とした質問の投稿・回答が可能です。

引用元:PTOTSTネット(掲示板)

 

う~ん。。。地域や担当者によっても多少解釈の違いがありそうです。

 

厚生労働省が小難しく告示する理由がこれですね

 

文章をどう解釈するかは各施設や担当者次第ということです。

 

以前(2006年の診療報酬大改訂の時)脳血管(Ⅰ)の基準にセラピストが合計10名必要となった時、人員不足により施設基準が満たせず、苦肉の策として

 

脳血管(Ⅰ)250点 (Ⅱ)100点
運動器(Ⅰ)180点 (Ⅱ)80点

 

脳梗塞などの中枢神経疾患をあえて『運動器不安定症』として100点しか算定できないところを180点算定していました。

 

今では日本運動器科学会が運動器不安定症の新定義と診断基準の改定ポイントを2016年に公表していますので
このような解釈は出来ないと思いますが、解釈の仕方次第では上記のような裏技が出来てしまうんですね。

 

あくまで一例としてお伝えしただけですので、勘違いしないで下さいね。

 

難病患者リハビリテーション料の見直し

 

以下、厚生労働省の告示をそのまま引用します

 

難病患者リハビリテーション料の実施職種に言語聴覚士を追加する。

 

難病リハの改定項目

 

難病患者リハビリテーションにおける各職種の役割等を踏まえ、難病患者リハビリテーション料の算定要件及び施設基準を見直す。

 

難病リハ改定のポイント

 

 

難病患者リハビリテーション料(1日につき) 640点

 

いくつかのポイントがあります。

 

対象者は外来患者
グループごとに治療する
患者1人1日につき6時間を標準

 

 

短期集中リハビリテーション実施加算

退院日から起算して1月以内に行われる場合は、1週につき概ね2回以上、1回当たり40分以上、

退院日から起算して1月を超え3月以内の期間に行われる場合は、1週につき概ね2回以上、1回当たり20分以上の個別リハビリテーションを含む難病患者リハビリテーションを行った場合に算定

 

医療機関を退院した患者に対して集中的にリハビリテーションを行った場合は、退院日から起算して3月を限度として、短期集中リハビリテーション実施加算として、退院日から起算した日数に応じ、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する。

 

退院日から1か月以内 280点
退院日1月を超えて3月以内 140点

 

 

私が勤務している病院は難病患者リハビリテーション料を算定していないので、実例を挙げることはできません。

 

 

samesan
samesan

ごめんなさい

 

調べた中で疑問に思ったのが…

 

難病患者リハビリテーションは、個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであるが、この実施に当たっては、患者の症状等に応じたプログラムの作成、効果の判定等に万全を期すること。
なお、実施時間は患者1人当たり1日につき6時間を標準とする。

 

 

 

samesan
samesan

1日6時間?長くないか…?

samesan
samesan

個々の患者にあわせたプログラムなのにグループでの治療?

 

あくまで6時間ずっとリハビリテーションを提供するわけではないようです。

しかし、厚生労働省の告示にもある通り6時間を標準とするため、さまざまな工夫をしているようです。

以下、具体的に実施している病院を参考に、実施の流れを作ってみました。

 

<一日の流れ>

 

バイタルの確認 (9時~) 

その日の体調を問診、検温、血圧、脈拍などのバイタル測定

個別トレーニング実施(AM) (9時30分~) 

個々にあわせたROMや筋トレ、物理療法、発声訓練、嚥下訓練、等

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による個別リハビリテーション

昼食 (11時30分~) 

食事時間は個人差があるため、長めに時間をとっているところが多い

食後は自由時間(趣味;囲碁・将棋など、 休憩;会話、睡眠など、)が多い

個別トレーニング実施(PM) (13時30分~) 

午前に実施出来なかった内容を実施

おやつタイム (15時~) 

レクリエーション前の休憩、栄養補給

集団レクリエーション (15時30分~) 

体操、発声練習、カラオケ、折り紙、等

帰宅 (16時) 

 

デイサービスのような感じですかね

 

間違っていたらごめんなさい💧

 

施設によって家族が送迎する所もあれば、送迎サービスがあったりと、まちまちみたいですね。

ですが、疾患別の期限が越えてしまいリハビリ難民になってしまう方にとってはうれしい制度ですね。

 

重症者の場合デイサービスに行けない事が多いからね

言語聴覚士の話からは逸れてしまいましたが、難病患者リハビリテーション料について調べてみましたのでご参考になれば…。

 

samesan
samesan

宜しかったら参考にして下さい

 

摂食機能療法の加算見直し

 

摂食機能療法の加算見直し

引用元:厚生労働省HP

 

摂食機能療法のおさらいです。

 

① 30分以上の場合 185点
② 30分未満の場合 130点

 

①については、摂食機能障害を有する患者に対して、1月に4回に限り算定する。
ただし、治療開始日から起算して3月以内の患者については、1日につき算定できる。

②については、脳卒中の患者であって、摂食機能障害を有するものに対して、
脳卒中の発症から14日以内に限り、1日につき算定できる。

 

 

samesan
samesan

ここまでは前回と同じですね

 

ここからが改定部分です。

 

経口摂取回復促進加算  ⇒  摂食嚥下支援加算

 

摂食嚥下障害を有する患者に対する多職種チームによる効果的な介入が推進されるよう、摂食機能療法の経口摂取回復促進加算について要件及び評価を見直す。

 

摂食機能療法の経口摂取回復促進加算について、多職種チームによる介入を評価できるよう、要件及び評価を見直すとともに名称の変更を行う。

 

摂食嚥下支援加算について

 

相変わらず文章が長くてわかりにくいです。。。

 

要約すると以下になります。

 

摂食嚥下支援加算の要約

 

 

 

経口摂取回復促進加算を算定していた施設は、今回の改定で減収になってしまうと思いますが、実績が満たずに経口摂取回復促進加算を算定出来なかった施設は、今回の摂食嚥下支援加算を算定出来るのであれば増収に繋がりますね!

 

samesan
samesan

でも、看護師の基準が相変わらず厳しいよね…。

 

 

脳血管リハ算定料の見直し

 

脳血管算定見直し

引用元:厚生労働省HP

 

最後は脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)の施設基準の規定変更について説明します。

 

今までは言語聴覚士のみを実施する場合、脳血管(Ⅰ)しか認められていませんでしたが、

今回の改定で脳血管(Ⅱ)の基準が新設され、施設基準が緩和されました。

 

今まで施設基準が満たせず言語聴覚士の算定が出来なかったところが、今回の診療報酬改定により算定が可能になったという所が増えてくるかもしれないですね!

 

詳細は以下の通りです。

 

 

脳血管料算定の見直し(ポイント)

引用元:厚生労働省HP

 

私が働く病院では恩恵を受けることはありませんでしたが、言語聴覚士の役割がかなり重要視されている良い傾向なのかもしれませんね!

 

 

まとめ

 

今回は『言語聴覚士のリハビリテーション料算定追加』についてご説明しました。

 

今回の診療報酬改定では、かなり言語聴覚士の評価が高まりましたね。

 

嚥下チームとして多職種が連携する事で、摂食・嚥下機能が向上したり肺炎の発症が軽減できるといったエビデンスが認められた結果ではないでしょうか?

 

そして、前回同様徐々に評価を上げてきている職種がもうひとつ…

 

『管理栄養士』ですね。

 

次回は、第3回目として『チーム医療における管理栄養士の追加』について説明したいと思います。

 

samesan
samesan

ちゃっかり宣伝してますね

 

最後までブログを読んで頂きありがとうございました。

 

samesan
samesan

ありがとうございました

 

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