こんにちは、サメさんPTです。
前回に引き続き
『令和2年度診療報酬改定』についてお話していきたいと思います。
第4回目は『回復期及び地域包括ケア病棟の実績指数改定』
について説明したいと思います。

宜しくお願いします
回復期病棟の改定ポイントは以下になります。
施設基準の見直し
ADLの評価に関する見直し
入院患者に関する見直し
地域包括ケア病棟の改定ポイントは以下になります。
施設基準の見直し
算定方法の見直し
どちらも実績の部分が肝ですね。

きちんとリハビリを実施しているかどうか判断しますよ
今回は実績指数に重点を置いて説明していきます。
回復期リハビリテーション病棟入院料
引用元:PTOTSTネット
回復期リハビリテーション病棟(病院)とは、脳血管障害や骨折の手術、廃用症候群となった患者さんに対し、集中的なリハビリテーションを提供する場所を指します。
急性期で治療を受けた後すぐに自宅退院が困難な場合は、医師の判断により回復期病棟(病院)へ転院し、低下した機能や能力を再び獲得するため、他職種が連携し退院のサポートを行っていきます。
また、今回の改定ではFIMの重症度判定が追加されました。
今までは日常生活機能評価で重症度を判定していましたが、今回の改定でFIMの点数が反映されました。

FIMは世界共通のADL評価で信頼性と妥当性があるからね
実績要件の見直し
引用元:PTOTSTネット
実績指数が変更されました。
平成29年と平成30年を比較すると、全体的に上昇傾向となっていたからだそうです。
厚生労働省の見解として

入棟時FIMが意図的に下げられているのでは?
と思っているようですね。
6単位を超える疾患別リハビリテーション料は回復期リハビリテーション病棟入院料に包括されますので、医療費の上昇を抑えるために実績指数を上げたとも考えられます。
また『なんちゃってリハビリ』にならないよう、しっかりと評価してリハビリを提供しろと言うことですね。
ここでポイントです! 実績指数について解説します。

相変わらず難しく書いてあるよね
簡略化するとこうなりますね
実際の数字を当てはめてみましょう。
例)脳梗塞の患者さん Grade1(高次脳なし) 入棟時FIM55点 退棟時FIM77点 入院期間85日
実績指数は約38.8となります。

実績指数40は結構厳しいな
では、どのようにすれば実績指数が向上するでしょうか?以下にポイントをまとめます。
目標FIMを決めておく
退院時期を早める
上限日数の多い疾患を入棟させる
除外対象をしっかり管理する
前述した通り、入棟時FIMが低いほど実績指数は高くなります。
また、退院時期を早める事で分母が小さくなります。
FIMの改善が見込めない患者さんに関しては、当該月の入棟患者数の100分の30を超えない範囲で除外する事が可能です。
これは患者さんを選ぶやり方なので出来れば避けたいですが、同じFIM点数でも算定上限日数が少ない患者さんのほうが、実績指数が低くなります。
また例を挙げてみましょう。
(1)高次脳を併発した脳梗塞の患者さん (2)廃用症候群の患者さん
どちらも入棟FIM50点 退棟FIM80点 入院期間80日 とします。
同じFIMの改善点数でも、疾患が違う(算定上限日数)だけでこれだけの差が出てきますね。

こーなると廃用の患者さんは入棟しにくいよな…。
そこで退院目標日の出番です!
退院目標日とは?
実績指数の計算方法は先ほどご説明しました。
この計算式の入棟から退棟までの在棟日数を=として計算式を改変します。
ここでは実績指数を40と設定します。退棟時FIMはまだわからないので、ここには目標FIMを入力します。
目標FIMを設定するには、予後を予測する知識が必要となりますが、入棟時の時点でしっかり評価をすることで、『なんちゃってリハビリ』を抑制することが出来ます。

目標を設定することでリハビリも明確になるね
みなさんご存じの通り、FIMはADLの評価です。
単純に機能改善を図る事も大切ですが、回復期リハビリテーションは能力向上がなにより重要です。
よってFIMの項目に沿って目標を立てることで、自然と予後予測につながります。

FIMを活用すると予後予測が立てやすいです
先程実績指数を計算した時と同じ内容で、退棟時FIMを目標FIMと仮定して計算してみます。
例)脳梗塞の患者さん Grade1(高次脳なし) 入棟時FIM55点 目標FIM77点150
入院期限が82日までであれば実績指数40を下回ることはありませんが、83日を過ぎると実績指数は40以下となる事がわかりますね。

実績も考え、予後予測も考え、退院の目安もわかりやすいね
このように、実績指数の計算式を改変する事で、退院目標日を算出することが出来ます。
是非活用してみて下さいね!
施設基準の見直し

実際管理栄養士の関わりは重要なので当たり前ですね
以下厚生労働省HPより抜粋します。
<まずは入院料1について説明します>
回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定するに当たっては、栄養管理に関するものとして、次に掲げる内容を行うこと。
ア 当該入院料を算定する全ての患者について、患者ごとに行うリハビリテーション実施計画又はリハビリテーション総合実施計画の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえて行うこと。なお、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書における栄養関連項目については、必ず記載すること。
イ 当該入院料を算定する全ての患者について、管理栄養士を含む医師、看護師その他医療従事者が、入棟時の患者の栄養状態の確認、当該患者の栄養状態の定期的な評価及び栄養管理に係る計画の見直しを共同して行うこと。
ウ 当該入院料を算定する患者のうち、栄養障害の状態にあるもの又は栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれるものその他の重点的な栄養管理が必要なものについては、栄養状態に関する再評価を週1回以上行うとともに、再評価の結果も踏まえた適切な栄養管理を行い、栄養状態の改善等を図ること。
<次に入院料2から6について説明します>
回復期リハビリテーション病棟入院料2から6を算定するに当たっては、専任の常勤管理栄養士を配置し、栄養管理に関するものとして、次に掲げる内容を行うことが望ましい。
ア 当該入院料を算定する全ての患者について、患者ごとに行うリハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえて行うとともに、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書における栄養関連項目に記載すること。
イ 当該入院料を算定する全ての患者について、管理栄養士を含む医師、看護師その他医療従事者が、入棟時の患者の栄養状態の確認、当該患者の栄養状態の定期的な評価及び計画の見直しを共同して行うこと。
ウ 当該入院料を算定する患者のうち、栄養障害の状態にあるもの又は栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれるものその他の重点的な栄養管理が必要なものについては、栄養状態に関する再評価を週1回以上行うとともに、再評価の結果も踏まえた適切な栄養管理を行い、栄養状態の改善等を図ること。
記載内容は同じですが、入院料2から6は努力義務ということです。
そしてもうひとつ『排尿自立支援加算』の算定が可能となりました。
回復期リハビリテーション病棟入院料に包括されていた排尿自立指導料が、新たに排尿自立支援加算となり、算定が可能となりました!
そして、今まで6週間を限度として算定されていたところが、12週間まで算定が可能となりました。
さらに、今回の改定で入院から外来へと移った後でも継続的な指導を継続できるよう、外来排尿自立指導料が追加されることになりました。

回復期でも尿バルーン留置の患者さんは多いからな。
加算がとれるなら助かるよ。
ADLの評価に関する見直し
今回の改定により、FIMの合計及び項目別内訳をリハビリテーション実施計画書に記載することとなりました。
また、説明後必要に応じ患者さんへ交付すると記載されています。

最初の段階でFIMの点数を提示して、且つ退棟時の目標FIMを患者さんに伝えることで、退院目標日も設定出来るから好都合だと思うよ。
重症者の判定で用いられる『日常生活機能評価』ですが、こちらもFIMに置き換える事が可能となりました。
そして、実はこの『日常生活機能評価』の評価方法が変更されているようです。

(引用元:看護roo!HPより)
回復期で重症者判定に用いる『日常生活機能評価』は看護必要度A・B・C項目のB項目を活用しています。

B項目は、患者さんのADLに関する評価です
少しややこしい改定になってますね。
どちらのほうが点数の伸びしろが大きいか、しっかりと見極める必要がありそうですね。
入院患者に関する見直し
平成30年度の診療報酬では、疾患名により受け入れ期間(発症または術後)と算定上限日数が定められていました。
この、受け入れ期間が削除されました。(算定上限日数はそのままです。)

時期に関する疑義解釈がありましたので参考にどうぞ

引用元:PTOTSTネット

人工関節の術後1か月以内が、けっこうギリギリだったりするんだよね。
削除はとても助かるね。
地域包括ケア病棟入院料
地域包括ケア病棟は、すぐに退院出来ない患者さんの受け皿として重要な役割を担っています。
急性期病院での治療終了後、様々な理由ですぐに退院調整が出来ない事があります。
そういった在宅復帰支援を手助けするのが地域包括ケア病棟です。
また、すでに在宅療養を行っている患者さんの緊急入院の受け入れをする病棟としても機能しています。
引用元:PTOTSTネット

これは表向きの地域包括ケア病棟の活用方法ですね
では、経営者側としてはどのような活用をしているのでしょうか?
地域包括ケア病棟を届出している施設はどのようなところがあるのか確認してみましょう。
また、地域包括ケア病棟を届け出している施設にはこのような特徴があります。
ということが中医協の診療報酬調査からも発表されています。

DPCⅡ期までに退院出来ないなら地域包括ケア病棟かな。
急性期病院ではDPCによる医療費制度を導入しており、Ⅱ期を超える時期から売り上げが減少します。
Ⅲ期を超えるとかなりの減収となります。
よって、急性期病院でのDPC対策として地域包括ケア病棟を活用している病院が多いんですね

昔存在した亜急性期病棟の使い方の応用だな
今回の改定はそこにメスを入れた改定となっております。
実績要件の見直し
引用元:PTOTSTネット
地域包括ケア病棟において、急性期治療を経過した患者さんや在宅で療養を行っている患者さんを受け入れる役割
が偏りなく発揮されるよう、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料について要件を見直す。
前述した地域包括ケア病棟を届け出ている施設に対しもう少し在宅からの受け入れをしてくださいね。
と、メスを入れた内容ですね。

回復期の実績と違い、リハビリの質に対する改定があまりなかったのが不思議ですけど…。
今回の改定では、
『入棟時に測定したADL等を参考に』リハビリテーションの必要性を判断し、その結果について診療録に記載するとともに、患者又はその家族等に説明すること
という追記もされています。
明記はされていませんが、
入棟時にしっかりFIMで評価をしなさいよ
という厚労省の言葉が伝わってきますね。
施設基準の見直し
実績要件については前述の項で説明しましたが、それ以外の改定項目について説明していきます。
大きな改定ポイントとしては、入退院支援部門に専従及び専任の職員が配置されたことです。
今回の地域包括ケア病棟の改定ポイントは、実績要件の見直しの項でも述べましたが、
在宅支援に力を入れているところです。

回復期より、今後は地域包括ケア病棟のほうが重要になりそうだ
実際の現場の声を聞くと
社会福祉士や退院調整看護師等が、いかに家族やケアマネジャーと連携しスムーズな在宅調整を出来るかどうか
にかかってくると思います。

在宅調整の実績指数などが新設されたら面白そうですね
算定方法の見直し
これは、明らかに自分の病院内で患者を回さないように厚労省がメスを入れた形ですね。
DPCによる医療費制度を導入している病院にとっては、なるべく早期退院させたほうが病院の利益となります。
しかし様々な病状や状況により、早期退院が困難なケースは多々あります。
その場合、以前の亜急性期病棟のように、一時的(60日以内)に病棟を移すことで入院基本料の減額を抑える事が出来ます。

地域包括ケア病棟が新設された時、まずこの使い方を想像しましたよね
今回の改定では同一の保険医療機関において、DPC対象病棟から地域包括ケア病棟に転棟した場合でも、
引き続きDPCによる算定方法を継続しなければならなくなりました。
特に同一病棟内で転室する場合は、DPCⅢ期まで継続となったので、かなり厳しいですね。

自分の病院内で回すなってことか。年々厳しくなるな。
まとめ
第4回は『回復期及び地域包括ケア病棟の実績指数改定』について説明しました。
主に回復期病棟における実績指数について説明させて頂きました。
実績指数のこんな使い方があったなんて知らなかった
と思って記事を見てくれた方がいたらとても光栄です。

記事が多くて読み疲れたよ
と感じてしまった方、申し訳ありません。

見苦しい記事に最後まで付き合って頂きありがとうございました
次回はついに最終回
『外来リハビリテーション診療料の緩和』と『運動量増加機器加算の新設』について
説明したいと思います。
最後までブログをご覧頂きありがとうございました。
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